こんにちは。シーアです。(@seer1118b)
サラリーマンの方は、毎月の給与明細で、額面と手取りに大きな差があることを意識していますよね。
年金や社会保険料が引かれて、手元に残るお金が減っていくのは、うんざりします。
でも、実は、日本の社会保険はすごく充実したもの。
アメリカなどは民間保険中心なので、比較すると手厚さがわかります。
当たり前にありすぎて、全然ピンとこない方がほとんどだと思います。
この記事では、民間の保険がなくても大丈夫なくらい手厚い、日本の社会保険を解説します。
知らなかった!私たちを守る公的保障
日本は、国民全員が健康保険に加入できる「皆保険制度」をとっています。
社会保険って、強制的に加入させられているという感覚がありませんか?
加入を希望したわけではないし…。そんなに期待していない方も多いのではないでしょうか。
いざという時のために、民間の医療保険や死亡保険に入る方も多いですよね。
でも、その前に、社会保障でどこまでカバーできるのかを確認することをおすすめします。
いざという時に備える、5つの公的保障制度
一般的なサラリーマンが加入できる社会保険のうち、突然の病気やケガのときに助けてくれる制度をご紹介します。
細かく言うと他にもありますが、この5つが代表的なものです。
- 高額医療費制度
- 傷病手当金
- 労災保険制度
- 障害年金
- 遺族年金
高額療養費制度は、入院などの自己負担を軽減できる
健康保険(国民健康保険or社会保険)に加入していて、保険料を払っていれば、医療費の自己負担額は最高でも3割負担。
もし、入院などで高額の医療費がかかった場合、自己負担の限度額までしか払わなくてすみ、それ以上は免除されます。
もし、限度額を超えて支払っても、払い戻し請求が可能です。
自己負担の限度額は、収入により異なります。また、70歳以上の場合は、さらに負担が軽くなります。
所得区分 | 自己負担限度額 |
---|---|
年収約1160万円~ (標準報酬月額83万円以上) | 25万2600円+(医療費ー84万2000円)×1% |
年収約770万円~1160万円 (標準報酬月額53万円以上、83万円未満) | 16万7400円+(医療費ー55万8000円)×1% |
年収約370万円~770万円 (標準報酬月額28万円以上、53万円未満) | 8万1000円+(医療費ー26万7000円)×1% |
~年収約370万円 (標準報酬月額28万円未満) | 5万7600円 |
住民税非課税世帯(低所得者) | 3万5400円 |
もし、私が急な病気になって、治療費に100万円かかったとしましょう。
その場合、私の年収は380万円程度ですので、8万100円+(100万円ー26万7000円)×1%=8万7430円の自己負担で済みます。
高額医療費制度を受けるには、ふたつ方法があります。
- 加入している健保に申請し、限度額適用認定証をもらい、窓口では限度額までの支払いで済ませる
- 最初は病院で3割負担の金額を払って、あとから払い戻し請求をする
こんなに負担が軽くできるなんて、みなさん知っていましたか?
私は、高額療養費制度という名前は知っていましたが、それでももっと自己負担額は大きくなると思っていました。
また、高額療養費制度では、他にもこんな保障があります。
多数回該当 〜繰り返しの入院などに〜
例えば、繰り返し入院治療が必要な場合など、直近1年間に、3回高額療養費を支給されていれば、自己負担の上限はさらに下がります。
例えば私の年収の場合(標準報酬月額28万円以上53万円未満)、自己負担上限4万4400円になります。
世帯合算 〜複数人の家族の治療費を合算〜
例えば、複数の病院で受診した場合。
または、ひとつの医療機関でも、一度の入院だけでなく外来での診察など、細かい医療費がたくさんかかった場合。
こんなときは、合算した金額が自己負担額を超えていたら、払い戻し請求ができます。
また、同世帯で、同じ保険に入っている他の家族の負担額があれば、1ヶ月単位で合算することができます。
ただし、同じ世帯でも、別々の健保では不可です。
つまり、私と夫だったら、別の企業に勤務してそれぞれの健保で社会保険に入っているので、合算はできません。
もし、専業主婦で、夫に扶養されている方なら、夫と同じ健保になっているはずなので、合算できます。
高額医療費貸付制度 〜限度額さえ払えないときに〜
もし、この限度額でも現金が足りなくて払えない、という場合は、医療費として無利子でお金を借りることができます。
支払い見込み額の8割までとなっています。
どうしても厳しい時に頼れる制度があるのは、心強いですね。
付加給付 〜健保によってはさらなる給付金が出る場合も〜
健康保険組合によっては、付加給付というものがあります。
前述の高額療養費制度に加えて、独自で上限金額を定めており、それを超えた金額分を払い戻してくれる場合があります。
仮に、私が、入院などで100万円の医療費がかかった場合、自己負担額は8万7430円です。
ですが、私の会社が入っている健康保険組合の場合は、付加給付が支給されるため、自己負担はさらに減ります。
最終的に支払うのは2万5030円で済みます。
こちらは後からの払い戻しになるため、病院の窓口ではいったん8万7430円を支払うことになります。
それでも、こんなに戻ってくるなんてありがたいですよね。
組合にもよりますが、払い戻しには2ヶ月程度かかります。
8月頃、後輩が入院したのですが、健保から振込があったのは11月だったそうです。
国民健康保険に加入している、自営業の方などは、この付加給付制度はありません。
また、同じ社会保険でも、協会けんぽは、付加給付制度がない場合が多いそうです。
傷病手当金は、病気やケガで働けなくなったときの保障
病気やケガで仕事ができなくなった場合、欠勤4日目~最長1年半、傷病手当金が支給されます。
- 会社員であること
- 業務外の事由による病気・ケガであること(業務上のものなら労災になるため)
- 業務遂行ができないこと
- 連続する3日間を含んで4日以上仕事ができないこと
- 休業中の給与の支払いがないこと
もらえるのは、給与の支払いがない日数分の、本来もらえる給与の2/3です。
つまり、標準報酬月額÷30日×2/3ですね。
実は、インフルエンザなどの誰しもかかる可能性のある病気でも対象になります!
有給休暇はお給料がでていますので、対象となりません。
「欠勤」ですので、有給休暇を使い果たして、それでもまだ出勤できないような病気・ケガに限られるということですね。
労災保険制度は、業務中の病気・ケガの保障
先程の傷病手当金は、業務外の病気・ケガの保障でしたが、労災(=労働災害)保険制度は、仕事が原因での病気・ケガであると認められた場合の保障です。
現代で急増している「うつ病」は、多くの保険会社の商品では保障対象外となっています。
しかし、労災の場合は、残業時間などの客観的証拠を提示して「働きすぎが原因」と認められれば、労災として給付金が出る可能性があります。
また、うつ病でなくても、仕事が原因で体を壊して働けなくなってしまった場合、法律上解雇できず、雇用が守られています。
(仕事に復帰することができてから30日経過するまで解雇できない)
障害年金は、1年半以上働けない障害を負った場合の保障
もし、前述の傷病手当金がもらえる1年半を経過しても、就労ができないような障害を負ってしまったら、「障害年金」に移行することができる可能性があります。
しかし、「傷病手当金を受給しながらも、仕事に復帰できなかった」という実績をもってすれば、申請が通りやすくなります。
申請が通って受給することができれば、後述する遺族年金よりも多少多くなります。
詳しい支給条件や金額は、こちらのサイトを参照下さい。
遺族年金は、加入者が亡くなったときの保障
国民年金・厚生年金の加入者が亡くなった際、その人の収入で生計を立てていた遺族が受け取れる年金のことです。
通常の年金と同様に、遺族基礎年金・遺族厚生年金があり、 年金加入状況に応じて給付される遺族年金が異なります。
- サラリーマンや公務員…遺族基礎年金+遺族厚生年金
- 対象者…妻・夫・子ども、生計を同一にする父母・孫・祖父母
- 自営業など…遺族基礎年金のみ
- 対象者…子どものいる妻・子ども(妻だけでは支給されない)
いくらもらえるのかは、妻や子どもの年齢、亡くなった方の収入により大きく異なります。
詳しい支給条件やシミュレーションは日本年金機構のHPに掲載されています。
公的保障を知って、安心して働こう
毎月の保険料も、いざという時の備えだと思えば、有意義に思えてきますよね。
もちろん、病気やケガがないに越したことはありません。
公的保障だけでも、こんなにしっかり万が一の場合の備えがあるのは、ありがたいことです。
子どもがいる方は、これらの公的保障があっても、カバーしきれない部分があると思います。
まずは、不足部分を把握してから、民間の医療保険を検討しましょう。
なにがなんだか分からないけど、不安だからとりあえず医療保険に入っている…などという方もいるかもしれません。
適切な保障だけを民間保険で補うよう、見直すことをおすすめします。
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余計な医療保険に入っていたので、必要な保障だけを残して、あとは解約しています。
固定費の削減になりますよ。